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ヒール・アンド・トゥ 使う場面とパワーバンドの説明&できない原因について解説

ヒール・アンド・トゥ シフトダウンってなに?

ヒール・アンド・トゥとはブレーキを踏みながら「かかと」でアクセルを煽ってシフトダウンする操作です。

MT車の運転方法 クラッチの繋ぎ方や坂道発進方法とシフトアップの操作を動画と一緒にわかりやすく解説しました

マニュアル車ブームでブリッピングやヒール・アンド・トゥを使ったシフトダウンのやりかたを教えて欲しいと言うお問い合わせが多数あります。

しかしながら普通の街乗りではブリッピングをしてシフトダウンする程度しか基本的には使わない

ましてやヒール・アンド・トゥを町中で使う場面ははっきり言って皆無です

まずエンジンのパワーバンドについて知っておこう

それぞれの自動車に搭載されているエンジンにはパワーバンドと言うエンジン回転数領域があり

パワーバンド領域ならその車が一番スムーズに前に進む力を発生する事ができるので、なるべくパワーバンドをキープして運転する事で例えばサーキット等ではタイムが縮まる等のメリットがある

パワーバンド領域を把握するには

・起点 : 車の最大トルク発生回転数

・終点 : 車の最高出力発生回転数

パワーバンド領域の終点は最高出力は極端に下る所としても良いです。

例えばWRX S208のエンジン出力グラフを参考にパワーバンド領域を把握するならば

最大トルク44.0kg.m/3200回転、最高出力329ps/7200回転なので

単純に考えると3200~7200回転がパワーバンドと言うことになるが

WRX S208 エンジン出力グラフ

グラフのカーブを参照するとS208のパワーバンドは2500回転~7500回転位が目安になる。

ヒール・アンド・トゥからのシフトダウンはパワーバンド領域内をキープするために使う

例えば、サーキットを走っていて直線から比較的回り込んだカーブに向かって強くブレーキするとします。

そうすると自ずとエンジン回転数が下がりパワーバンド領域起点の回転数よりも下回ります

パワーバンドから外れるとアクセルを踏んでも進まないので予めパワーバンドを保つためのシフトダウンが必要なのですが、そのままシフトダウンすると減速抵抗が大きくなりリヤのトラクションが不安定になる。

その不安定さを解消する為に、ブレーキをふんだままアクセルをかかとで煽ってシフトダウンする。

この操作が正しいヒール・アンド・トゥからのシフトダウンの使い方なんです。

直線からヒール・アンド・トゥを使って急減速+シフトダウンする映像です。

*雨の日で余り踏めてないですがご了承願います。

上の映像でシフトダウンしていなければ4速のままパワーバンド起点の回転数をを大きく下回ってしまって次にアクセルを踏んでも前に車が進みにくくなる。

映像では急激なブレーキによってパワーバンド起点を下回る事をシフトダウンしてパワーバンド起点を下回らないようにしている

軽めのブレーキでシフトダウンする事もヒール・アンド・トゥって言うのですか?

軽めのブレーキでヒール・アンド・トゥを使ってシフトダウンする必要性は全くありません。

軽めのブレーキだとブレーキを踏む足がギクシャクして不必要な車の挙動に繋がるので逆に危ないし、回転数が高くなりすぎてエンジンを壊しかねないオーバーレブになる恐れもある

勾配のきつい下り坂なら普通に減速からアクセルを煽ってシフトダウンし、エンジンブレーキを使うのが良いでしょう。

平坦な道路でヒール・アンド・トゥを使う必要は微塵も無いしかっこよくもないです。

シフトダウンとは

シルバーストーン・レースドライバーインストラクター 中納 徹 氏 著書「レーシングドライビング」より。

第21章

シフトダウンは差し迫ったコーナーの立ち上がり加速でエンジントルクを一番美味しく使える低速ギアへ変更を止めるブレーキを行っている間に済ませてしまうものです。

ヒール・アンド・トゥができない原因

先日4名の方に「ヒール・アンド・トゥ」をレクチャーしてきました。

ヒール・アンド・トゥができな一番の原因はブレーキング不足(ペダルの位置とかは関係ない)

助手席に乗って、ドライバーに加速してもらい一番簡単な4速→3速への操作を合図と同時にフルブレーキングからのヒールアンドトゥによるシフトダウンをやってもらうのだが、どうしてもブレーキが抜ける。

アクセルに意識が行き過ぎて、ブレーキペダルのつま先の力が抜けてしまう現象が多発。このままでは習得以前の問題で危険を伴うと判断しレクチャー方法を次の様に変更。

フルブレーキを覚えてもらう

ヒール・アンド・トゥは基本的にフルブレーキした時のエンジン回転数低下を補うと言うパワーバンド維持の為にシフトダウン操作であって、ブレーキが疎かになっては本末転倒

まずフルブレーキの見本を体験して頂くのだが、フルブレーキ実演すると皆さん驚かれます。

見本を体験してもらった後に、フルブレーキだけ10回位練習(同乗はかなりきつい、酔います)してからヒール・アンド・トゥをやってもらうとだいたい成功しました

フルブレーキのコツさえ覚えてもらえれば、ブレーキングの時の足に余裕ができるので後は自力で上達するでしょう。

岡山国際サーキットの走行動画です、概ねコーナーに入る前にフルブレーキしてますので参考にしてみてください。

どうしてもヒール・アンド・トゥができない場合

どうしてもできなくてもOKです。ブレーキだけしっかり踏んで減速だけに集中してアクセルオンにスル時にシフトダウンすれば少しロスにはなるかもしれないけど、サーキットでも対応できると思います。

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